アイスダンスのルールとエレメンツを簡単解説 フリーダンス編

前回はリズムダンスのルールについて、簡単に解説してみました。

私自身この記事を書くのに(間違ったことは書けないので)いろいろ調べてみて、お~!そうだったのか、というのがたくさんありました。

ルールがわかると観戦がもっと楽しくなる!これは確実ですね。

今回はフリーダンスのルールについてです。

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フリーダンスのルール 基本のき

演技時間: 4分±10秒

GOE: +-5の11段階

フリーと言ってもエレメンツは、かなり細かく規定されています。

ISUアイスダンスのテクニカルルール2020-2021

フリーダンスのエレメンツ

*ダンスリフト

プロトコールの中にLiで表されるリフトですが、フリーではリズムダンスでも使われる4種類のショートリフトの他に、ロングリフトが追加されます。

FDでは3つのショートリフトか(3つとも異なる種類であること)、ひとつのショートリフトとひとつのコンビネーションリフト(ショートリフトはロングリフトの種類と異なること)を選べます(結局はショートリフトを3つということですね)。

リフトの種類
ショートリフト(RD、FD共通)

Sl: ストレートライン
まっすぐ直線状に滑って行うリフト

Cu: カーブ
カーブを描いて滑って行うリフト

Sta: ステーショナリ
一か所に止まって行うリフト

Ro: ロテーショナル
回転しながら滑って行うリフト

ロングリフト
〇Li+〇Li: コンビネーションリフト 
ショートリフトをふたつつなげて行う

プロトコルにはリフトの名前がふたつ+でつないで表記されます。

たとえばCuLi4+RoLi4とかCuLi4+CuLi4とか。

ひとつ目はカーブリフトとロテーショナルリフト、ふたつめはカーブリフトをふたつつなげているということです。

*ダンススピン

スピンかコンビネーションスピンということになっていますが、今回私が調べたカップルは全員(約20組)コンビネーションスピンをしていました。

あのふたりが組んで氷上をくるくる回るのですが、軸を自分の中ではなく、二人の間に作ることになるので、ひとりで回るスピンとは全く別物だそうです。

プロトコル上、CoSpと表記されます。コンビネーションでなかったらただのSpなのかどうか、確認できませんでした(確認できたら追記します)。

*ステップ・シークェンス

プロトコル上Stと表記されるのがステップです。
2種類のステップ・シークエンスを両方入れます。

ステップ・シークェンス とワンフット・ステップ・シークェンス です。

☆ステップ・シークエンス

ふたりで組んで(ホールドして)踏むステップです。

プロトコル上DiSt3などど表記されます。

Di:ダイアゴナル(対角線)
Mi:ミッドライン(中央線)
Ci: サーキュラー(円)
Se: サーペンタイン(S字)

最後の数字はレベルです。

☆ワンフット・ステップ・シークェンス

こちらは男女が別々に離れて(ホールドしないで)片足で踏むステップです。

OFStL3+OFStM2のように表記されます。
OFStが ワンフット・ステップの意味、+の前のLが女性、+の後のMが男性への評価(レベル)です。

*シンクロナイズド・ツイズル

フルネームは「コンビネーション・セット・オブ・シンクロナイズド・ツイズル 」と長いのですが、プロトコル上もSyTwL4+SyTwM4と長い表記になります。

リズムダンスのツイズルと同じで、前半のLが女性の評価、後半Mが男性の評価です。

ふたりがぴったり同じ動きをすると見ごたえがありますし、盛り上がるエレメンツですよね。

*コレオグラフィック・エレメンツ

Chが付く構成が「 コレオグラフィック・エレメンツ」です。

Chは5種類ありますが、その中から3種類を選びます。

コレオグラフィック・エレメンツは内容が比較的自由でレベルもなく、すべてGOEのみで評価されます。

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ChLi1のように表記されますが、最後の1はレベルではないので、レベルを取り損ねたわけではありません。

★コレオグラフィック・リフト

プロトコルではChLi1と表記されます。

リフトを入れたコレオですね。

このリフトをコレオグラフィック・エレメンツのひとつに選んだ場合、プログラムの中ではダンスリフトを先に、コレオリフトを後にすることになっています。

★コレオグラフィック・スピニング・ムーブメント

プロトコルではChSp1と表記されます。

SoSp(ダンススピン)と違って、移動しながらスピンしたり、両足でスピンしたり、氷に触れる形をとったり、かなり自由に表現ができます。

★コレオグラフィック・スライディング・ムーブメント

プロトコルではCoSlと表記されます。

普通は氷の上に足以外のものが触れると(たとえば膝をつくとか)転倒扱いになるのですが、この要素の中で行われる分にはエレメンツとみなされます。

私がいくつか見てみた限りでは、やはり膝を氷に載せてついーっ、というのが多かったです。

★コレオグラフィック・ステップ・シークエンス

Cost1と表記されます。

コレオグラフィック・エレメンツは自由に3種類選べるはずなのですが、このステップ・シークエンスは入れないと演技のバランスが良いと判断してもらえないようで、私がこの記事を書くために見たプロトコルには、これを入れていないカップルはいませんでした。

氷に手をついても良いとか、ふたりの間が腕4つ分離れていても良いとか、かなり自由です。

★コレオグラフィック・ツイズリング・ムーブメント

CwTwと表記されます。

ツイズルを入れたコレオです。

2部で構成されますが、片足でも両足でも両方を混ぜてもOK。

リフトと同じく、このツイズルトをコレオグラフィック・エレメンツのひとつに選んだ場合、プログラムの中ではシンクロナイズド・ツイズルを先に、コレオツイズルを後にすることになっています。

NHK杯2020の村元哉中/高橋大輔組のプロトコールを見てみる!

実際のプロトコルをちょっと見てみましょう。デビュー戦2020年のNHK杯で3位だった村元哉中/高橋大輔組のプロトコルです。

1 CoSp1 3.75
コンビネーション・スピン、レベル1でした。

2 SlLi3+RoLi4 9.85
ストレートラインリフトからロテーショナルリフトへのコンビネーション。なかなか高いレベルが取れていますね。

3 OFStL3+OFStM2 5.72
ワンフット・ステップ・シークェンス。女性がレベル3、男性がレベル2でした。

4 StaLi3 4.55
ステーショナリ・リフト。レベル3。アイスダンスを始めて1年、組んで一年もたたないカップルがこんな複雑なリフトをしちゃうんですね。

5 DiSt2 6.95
ダイアゴナル・ステップ。丁寧に丁寧に滑っていました。

6 SyTwL3+SyTwM2 5.72
シンクロナイズド・ツイズル。ここで高橋選手がこけちゃいました・・・GOEがマイナスになってしまって、もったいなかったです。

7 ChSt1 1.10
コレオグラフィック・ステップ。緊張している演技の中で、ここは楽しんでいる感じでしたね。得意のステップという感じでしょうか。GOEも高かったです。

8 ChLi1 1.10
コレオグラフィック・リフト。ちょっと中途半端だったかも。

9 ChSl1 1.10
コレオグラフィック・スライディング。何度も膝を氷について、シュワーッと滑っていました。

四大陸選手権のかなだいのFDを詳しく見てみました。こちら

ルールをわかって演技を見てみる

これね、ちょっとびっくりするくらい。全然違います。ルールがわからなくて見ていた時と。

おおお!と叫んじゃいましたよ、私。

ここに私が書いたのは、本当に基本的なことだけで、実際には事細かにルールが決められています。こんなにガジガジなのに、あれだけ個性的な演技をするアイスダンスチームたちの、すごいことよ!

リズムダンス編はこちら~!

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