トップクラスがひしめいている今の日本男子、ある程度の波乱は覚悟していましたが、まさかこんな結果になるとは・・・!
いや、この波乱こそが今の日本男子フィギュア界が「黄金時代」であることの証なのかもしれません。
宇野昌磨 金! 島田高志郎 銀! 友野一希 銅!
宇野昌磨選手が連覇なのですが、もう本当にこれは「当然」という感じで、この当然の陰にどれだけの宇野選手の努力が隠れているのかということを忘れてしまいそうになります。それほど今の宇野選手は特別で、まったくの別次元にいるようです。本当にすごいスケーターになったものです。
宇野選手がすごいのはジャンプだけではないのですが、今回のFSのジャンプ構成を書いておきます(やっぱりすごいので)。
4Lo、2S、4F(転倒)、3A、4T-3T、4T-2T、3A-2A-2A
最初のループは素晴らしかったのですが、その後のサルコウが2回転になってしまい、次のフリップで転倒。宇野選手はコンビネーションが入らないことが良くあるので今回もそのパターンかと思っていたら、最後の3つのジャンプが全部コンビネーションで、最後が何と3A-2A-2A!!!いやはや、何と言ったらよいのか。
SPも良かったけれど、今回のFSはなんかすさまじかったです。
そして私にとっては驚き嬉しい島田高志郎選手の銀メダルでした!
ジュニアの時に将来を期待され、その後なかなか成果を出せず苦しむスケーターは多いけれど、島田選手もそのひとりなのかもしれないなどと思っていました。それにしてもあの笑顔のかわいい男の子が、こんな長身の青年に成長して(今も笑顔はかわいいが)4回転も跳んで堂々の演技で全日本2位だなんて!もう親戚のおばさん目線に近いかもしれませんが。
これで4回転の精度が上がってくれば、他の部分にも気が配れるようになってプログラム全体の印象も変わってくるのではないかと思います。
次の大舞台、四大陸選手権のチャンスを十分に生かして欲しいと思います。
それにしても日本男子はスピンが苦手だった印象があるのですが、最近は上手な選手がたくさんいますね。もしかしてステファン先生の功績もあるのかな。
そして3位になったのが友野一希選手。見事に自力で(補欠繰上りではなく)世界選手権のチケットを手に入れました。
見ていて楽しいエンターテナー。ジャンプが、スピンがということではなく、プログラム全体で楽しませてくれる選手です。振り付けのミーシャとの相性がとても良いのでしょうね。
表彰台には上がれなかったけれど、今季のGPFなどの実績から世界選手権に選ばれた、山本草太選手。
ケガから諦めず、長い時間をかけてここまで来た草太君、本当におめでとう!3度目の骨折の時には、もうダメかもしれないなんて思ってごめんなさい。復帰後も、とにかく滑るのを見るのがこわくて・・・たぶん本人が一番怖かったと思うのに。それを乗り越えてケガ前の状態に戻して、それを越えて進歩してここまで来たのは本当にすごいことです。
以前はちょっと淡泊な滑りだったけれど、ここにきて色気まで感じる様になりました。
印象に残った選手たち
順位に関係なく印象に残った選手たちについて書いておこうと思います。
まずは、ジュニアから若干14歳で出場の田内誠悟選手。顔も体つきもまだまだ子供なのですが、キラリと光って記憶に残りました。これから注目して行きたいと思います。こういうこれからのお気に入りを見つけられるのも、全日本の楽しみのひとつです。
選手紹介を逃してしまい、遠いカメラで映った選手を見て「誰?これ?!」と思わず目を凝らしたのが西山真瑚選手でした。あ~、やっぱりアイスダンスで培った滑りは違うのだな。来季からはアイスダンスに専念ということで、すごくすごく期待しています。パートナーは見つかったのかな。相性の良い相手が見つかりますように。
片伊勢武アミン選手は不調で残念でしたが、JPGから注目していました。JGPFから調子を落としてしまっていて残念でした。今季たぶんファンが急増したであろうと思われるのですが、それは王子様な容姿だけが理由ではないはずです。
三宅星南選手。ジャンプの不調が響いてしまったかなと思うのですが、最後まで滑り切ってくれました。FSは何とも切ないタイタニックでした。
ここ2~3年ぐんぐん伸びてもう世代交代かと思わせた3人、佐藤駿選手/三浦佳生選手/鍵山優真選手はケガなどの影響もあって、思う様な演技はできなかったかもしれません。それでもそれぞれの頑張りはこれからの大きな糧になると思います。すごい可能性を秘めた選手たちです。これからを期待しています。ケガはちゃんと治してね、無理はしないで。ジュニア勢がどんどん来るから、焦っちゃうかもしれないけれど。
森口澄士選手はペアとシングルの二刀流。すごすぎる!SPは別々の日だったけれど、FSは同じ日に約4時間を空けての演技。それであのシングルのFS(FSで5位、3A2回成功)です。すごい!シングルに残っているのは(村上遥奈ちゃんも)、来季から年齢制限でペアで競技会に出られなくなるからというのもあるのかも。シングルであんまりうまく行っちゃうとペアをやめちゃうんじゃないかと心配になるくらいです。何しろ貴重なペア人材ですから。
今回が最後の全日本になった須本光希選手と山隈太一朗選手も、心に残る演技を見せてくれました。ありがとう。
フィギュアスケート全日本選手権2022 男子結果
順位 | 名前 | SP順位 | FS順位 | 総合得点 |
1 | 宇野昌磨 | 1 | 1 | 291.73 |
2 | 島田高志郎 | 2 | 6 | 252.56 |
3 | 友野一希 | 4 | 4 | 250.84 |
4 | 佐藤駿 | 5 | 3 | 249.64 |
5 | 山本草太 | 3 | 7 | 245.41 |
6 | 三浦佳生 | 13 | 2 | 242.55 |
7 | 森口澄士 | 10 | 5 | 241.63 |
8 | 鍵山優真 | 6 | 8 | 237.83 |
9 | 壷井達也 | 11 | 9 | 221.17 |
10 | 吉岡希 | 7 | 11 | 220.43 |
11 | 中村俊介 | 8 | 10 | 218.08 |
12 | 三宅星南 | 9 | 12 | 216.10 |
13 | 山隈太一朗 | 12 | 15 | 206.25 |
14 | 大島光翔 | 16 | 13 | 202.44 |
15 | 佐々木晴也 | 19 | 14 | 199.95 |
16 | 西山真瑚 | 17 | 16 | 197.81 |
17 | 周藤集 | 22 | 17 | 190.38 |
18 | 垣内珀琉 | 21 | 18 | 187.97 |
19 | 片伊勢武アミン | 14 | 21 | 185.40 |
20 | 櫛田一樹 | 24 | 19 | 181.81 |
21 | 本田ルーカス剛史 | 20 | 20 | 180.87 |
22 | 長谷川一輝 | 18 | 22 | 179.61 |
23 | 田内誠悟 | 15 | 24 | 173.60 |
24 | 須本光希 | 23 | 23 | 172.40 |
25 | 木科雄登 | 25 | – | 58.73 |
26 | 中田璃士 | 26 | – | 57.74 |
27 | 杉山匠海 | 27 | – | 54.28 |
28 | 彦阪昇吾 | 28 | – | 49.81 |
29 | 小林隼 | 29 | – | 47.37 |
30 | 三島悠生 | 30 | – | 38.87 |