波乱の全日本2019女子の試合でした。、表彰台の顔ぶれ、誰が予想していたでしょう。
宮原知子と坂本花織が表彰台を逃し、この2年苦戦していた樋口新葉が2位、ジュニアの川畑和愛が3位の表彰台に立ちました。
フィギュアスケート全日本選手権2019 宮原知子は表彰台を逃す
これが最後の全日本だった新田谷凛選手と、復活の兆しのある永井優香選手がトップテンに入ったのは、とても嬉しいことでした。
最終結果
順位 | 名前 | 所属 | SP順位 | FS順位 | 総合得点 |
1 | 紀 平 梨 花 | 関西大学KFSC | 1 | 1 | 229.20 |
2 | 樋 口 新 葉 | 明治大学/ノエビア | 4 | 2 | 206.61 |
3 | 川 畑 和 愛 | N高東京 | 7 | 3 | 193.96 |
4 | 宮 原 知 子 | 関西大学・木下グループ | 2 | 6 | 191.43 |
5 | 横 井 ゆは菜 | 中京大学 | 9 | 4 | 190.92 |
6 | 坂 本 花 織 | シスメックス | 3 | 7 | 188.26 |
7 | 新田谷 凜 | 中京大学 | 10 | 5 | 184.26 |
8 | 本 田 真 凜 | JAL | 6 | 8 | 181.34 |
9 | 永 井 優 香 | 早稲田大学 | 8 | 12 | 173.88 |
10 | 吉 岡 詩 果 | 植草学園大学附属高校 | 11 | 11 | 171.44 |
11 | 山 下 真 瑚 | 中京大中京高校 | 5 | 16 | 170.75 |
12 | 三 宅 咲 綺 | 岡山理大附高校 | 16 | 9 | 169.51 |
13 | 河 辺 愛 菜 | 関西大学KFSC | 14 | 10 | 169.28 |
14 | 竹 野 比 奈 | 福岡大学 | 12 | 13 | 168.57 |
15 | 浦 松 千 聖 | 中京大中京高校 | 13 | 14 | 167.21 |
16 | 松 原 星 | 明治大学 | 23 | 15 | 155.31 |
17 | 磯 邉 ひな乃 | 中京大学 | 19 | 17 | 152.59 |
18 | 千 葉 百 音 | 仙台FSC | 17 | 19 | 150.50 |
19 | 吉 田 陽 菜 | 名東FSC | 21 | 18 | 149.72 |
20 | 佐 藤 伊 吹 | 明治大学 | 24 | 20 | 146.14 |
21 | 松 田 悠 良 | 中京大学 | 18 | 21 | 146.05 |
22 | 廣 谷 帆 香 | 岩手大学 | 15 | 22 | 143.63 |
23 | 山 田 さくら | 立命館大学 | 20 | 23 | 138.92 |
24 | 津 内 胡 菜 | 近畿大学FSC | 22 | 24 | 136.42 |
25 | 井 上 千 尋 | 明治大学 | 25 | – | – |
26 | 笠 掛 梨 乃 | 愛知みずほ大瑞穂高校 | 26 | – | – |
27 | 竹 野 仁 奈 | 筑紫女学園大学スケート部 | 27 | – | – |
28 | 大 庭 雅 | 東海東京FH | 28 | – | – |
29 | 大 矢 里 佳 | 明治大学 | 29 | – | – |
フリー結果(12位まで)
順位 | 名前 | 所属 | FS得点 | 技術点 | 演技構成点 |
1 | 紀 平 梨 花 | 関西大学KFSC | 155.22 | 81.62 | 73.60 |
2 | 樋 口 新 葉 | 明治大学/ノエビア | 138.51 | 71.35 | 67.16 |
3 | 川 畑 和 愛 | N高東京 | 128.43 | 67.62 | 60.81 |
4 | 横 井 ゆは菜 | 中京大学 | 128.02 | 66.54 | 61.48 |
5 | 新田谷 凜 | 中京大学 | 121.99 | 65.54 | 56.45 |
6 | 宮 原 知 子 | 関西大学・木下グループ | 121.32 | 52.23 | 69.09 |
7 | 坂 本 花 織 | シスメックス | 118.31 | 50.73 | 68.58 |
8 | 本 田 真 凜 | JAL | 115.42 | 51.79 | 64.63 |
9 | 三 宅 咲 綺 | 岡山理大附高校 | 115.25 | 62.79 | 52.46 |
10 | 河 辺 愛 菜 | 関西大学KFSC | 112.76 | 58.85 | 54.91 |
11 | 吉 岡 詩 果 | 植草学園大学附属高校 | 110.55 | 60.55 | 52.00 |
12 | 永 井 優 香 | 早稲田大学 | 109.10 | 53.80 | 56.30 |
フィギュアスケート全日本選手権2019 紀平梨花の3Aと樋口新葉の復活の舞
優勝したのは、紀平梨花選手です。波乱の女子シングルでしたが、紀平選手の優勝は、まあ誰もが予想していたことかもしれません。
他の有力選手の不調もあって、紀平選手の圧勝でした。調子が良くなかったということでしたが、全然そんな風に見えませんでした。SPでは3Aを珍しく失敗しましたが、FSでは4Sは回避したものの、3A-3Tと3Aを跳び、2回目の単独3Aの質は、すばらしかったです。
3A+3Tの3Tで回転不足を取られてしまいましたが(いつも全日本は、国際大会より厳しいと思います。今回も、です)、それ以外は全部プラス評価のきれいなプロトコルです。全部レベルも取れているし、GOEも高いです。ジャンプだけではなく、すべてについて優れているのが良くわかります。
不調の中のこの演技、しかも紀平選手の前の選手たちがミスを連続していたのに引きずられない強さもあります。精神的にも強くなったんですね、すごいわ。
2位になった、樋口新葉選手。このところケガの影響もあって、なかなか結果を残せていませんでした。3Aを練習で成功しているのは聞こえていましたが、調子全体がどうなのかはちょっとわかりませんでした。
SPではコンビネーションジャンプのミスがあって、やはり調子は戻っていないのかもと思っていました。ところがFSはほぼパーフェクト!力強い樋口選手、復活です。おめでとうございます!
3位になったのは、ジュニアから出場の川畑和愛選手です。全日本ジュニアでは2位でしたが、シニアの全日本で3位!
川畑選手はスケーティングがきれいで、シニアでも通用する演技構成点をもらっています。プログラムもぴったりで(SP、FSともステファン・ランビエール振り付け)、衣装もとても良く似合っています。
フリー後半のアンデス音楽に乗ってのステップが、とてもすてきでした。
ジュニアにとどまっているのは自分の選択だということですが、これでジュニア世界選手権の切符は確実だと思います。
SP2位につけた宮原知子選手は、珍しいくらいにFSで崩れてしまい、表彰台を逃してしまいました。
コーチと拠点を変更すると、やはり効果が表れてくるのには時間がかかるということでしょうか。若い選手が難しいジャンプをバンバン跳び、以前よりジャンプの出来が結果に響くようになって、焦りがあるのかもしれません。
でも、でも、です。宮原選手の作り出す世界、なんて美しいんでしょう。こんな繊細な表現ができる選手は、本当に数少ないです。ジャンプが重視されて、こういう表現の出来る選手が淘汰されるとしたら、とても悲しいことだし、そうなってほしくありません。
今回、思いがけず表彰台を逃したもうひとりが坂本花織選手です。どうも練習自体がうまく行っていなかったようで、その原因のひとつが親友でもありライバルでもある三原舞依選手の不在だということ。
(そうだよ、舞依ちゃん。かおちゃんと私たちファンのためにも、早く良くなって戻ってきてね!回復を祈っています!)
FSでは最初から身体が重い感じがして、ジャンプもあまり上がらず・・・今回の大会での’悔しい思いが、これからのエネルギーに変われば大丈夫!だって、それだけの力は十分持っているのだから。
本田真凜選手は、久々にSPで華やかな、らしい滑りを見せてくれました。FSではたくさんミスが出てしまいましたが、去年のような投げやりな感じにならず、最後まで集中して滑り切りました。
インタビューでの受け答えも、ずいぶん大人っぽくなって、いろいろと経験してきたのだというのがわかります。そしてその経験が無駄になっていない、ということも。
この大会で感動した演技のひとつが、新田谷凛選手のFSでした。大学4年の今季を、現役最後のシーズンに決めて臨んだ全日本選手権でした。
ジュニアの時のロミオとジュリエットでハートを持って行かれ、それから応援していたのでこれが最終シーズンというのはとても残念ですが、その最終シーズンの全日本でこんな素晴らしい演技が見られたなんて感無量です。
終盤のステップとスピンは、ほんとうに新田谷選手らしい柔らかいやさしい世界でした。本当に素晴らしかったです。ありがとう!
フィギュアスケート全日本選手権2019 女子の世界選手権出場選手は誰に?
今回の試合結果が意外だったので、気になるのは四大陸選手権と世界選手権への切符の行方です。
ジュニア世界選手権には、全日本ジュニアチャンピオンの河辺愛菜選手の派遣が内定しています。日本の女子枠は2なので、残りはひとりです。
3位に入った川畑選手は、年齢的にシニアの大会にも出られるのですが、出場するにはシニアのミニマムスコアを取らなければなりません。世界選手権にはまだ時間がありますが、四大陸選手権には間に合わないかもしれません。
川畑選手自身がジュニアを選んでいるということもあって、派遣されるのはたぶんジュニア世界選手権なのではないかと思います。
世界選手権の日本女子の枠は「3」です。
今回優勝の紀平梨花選手は確定です。あとふたり。
選考は全日本選手権1本ではないのですが、もちろん結果は重視されます。今季のように少し低迷している状態なら、特に全日本の結果の比重が大きくなります。
樋口新葉選手は全日本選手権で2位になったことで、たぶん選ばれることになると思います。
もうひとりは、ワールドランキングが上位にいる宮原知子選手か坂本花織選手ですが、ランキングも全日本の順位も上位である宮原選手が選ばれるのではないかと思います。
四大陸選手権への派遣は、選手の意向が左右することもあるので難しいですが、世界選手権と同じか、もしかすると紀平選手、樋口選手、坂本選手、ということもあるかもしれません。
力のある選手がたくさんいるので、なるべくたくさんの選手がチャンスを手に入れられると良いなと思っています。
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