北京冬季五輪2022 男子フィギュアスケートの結果と感想

4年に1度のオリンピックが始まって、フィギュアスケート団体戦で日本は銅メダルを獲得しました!

すばらしい~!

ところがアメリカのヴィンセント・ジョウ選手の直前のコロナ陽性発覚という気の毒なニュースがあったりして、とにかくみんな無事に氷の上に立って欲しいという気持ちで日々過ごしています。

そしていよいよ個人戦が始まりました。

もうドキドキ!です。

それにしてもフィギュアスケートのレベルの上がったことといったら、本当に大変なことになっています。

4個人種目のうち、真っ先に行われた男子シングルについて、結果と私の印象に残った演技などについて書いてみたいと思います。

スポンサーリンク

北京冬季五輪2022 男子フィギュアスケート ネイサン・チェン圧勝!

今回の五輪の男子フィギュアスケートは、個人的に金メダルを取ってほしい選手が複数いて、自分でもどうやって応援しようか・・・いや、もう全員力いっぱい応援するしかない、と。

とにかくみんなが満足の行く演技をしてくれたら、メダルはもうそれはどうでも良いんじゃないかとさえ思っていました。

ただもやもやの残る結果はイヤだなと思っていました。あとでファンが点数に文句を付けるような、そういうのはこれまでも何度もありましたが、選手にもファンにも幸せなことではないですからね。

その優勝をしてほしいと思っていた選手のひとりがネイサン・チェン選手でした。そしてもう文句のつけようのない、見事な優勝をしてくれました。

4年前のピョンチャン五輪のことを覚えている人は多いと思います。優勝候補だったチェン選手はSPの演技で信じられないような崩れ方をして、メダルを取ることができませんでした。

それから4年をかけてどれだけの練習をしてきたことか、今回の演技の気合の入り方には圧倒されました。演技自体にも圧倒されましたけれどね。

もちろん日本選手も応援していました。

銀メダルを取った鍵山優真選手は伸び盛り。滑るたびにうまくなって行くのを見るのは楽しみだし、どんどん上に行ける今は楽しくて仕方がないのだと思います。その楽しさがこちらにも届いて、しあわせな気分になります。次世代を引っ張って行く中心になりそうですね。

銅メダルの宇野昌磨選手は、ここ数年思うようにならない時間を過ごしてきました。そして「復活」とも言える今季。今回は団体戦と合わせてふたつのメダルを手に入れ、前回の銀メダルと合わせて3つの五輪メダリストです。すごく嬉しいです。

そしてメダルこそ逃しましたが、4位になった羽生結弦選手。3連覇はともかく、五輪の場で4Aを決められたらどんなにステキかと思っていました。羽生選手らしい魂のこもった演技だったと思います。

男子フィギュアスケートの総合結果です。

順位 名前 総合点 SP順位 SP点数 FS順位 FS点数
1 CHEN Nathan USA 332.60 1 113.97 1 218.63
2 KAGIYAMA Yuma JPN 310.05 2 108.12 2 201.93
3 UNO Shoma JPN 293.00 3 105.90 5 187.10
4 HANYU Yuzuru JPN 283.21 8 95.15 3 188.06
5 CHA Junhwan KOR 282.38 4 99.51 7 182.87
6 BROWN Jason USA 281.24 6 97.24 6 97.24
7 GRASSL Daniel ITA 278.07 12 90.64 4 187.43
8 SEMENENKO Evgeni ROC 274.13 7 95.76 9 178.37
9 JIN Boyang CHN 270.43 11 90.98 8 179.45
10 KVITELASHVILI Morisi GEO 268.62 5 97.98 11 170.64
11 MESSING Keegan CAN 265.61 9 93.24 10 172.37
12 AYMOZ Kevin FRA 254.80 10 93.00 15 161.80
13 VASILJEVS Deniss LAT 252.71 16 85.30 12 167.41
14 SIAO HIM FA Adam FRA 250.15 14 86.74 13 163.41
15 KONDRATIUK Mark ROC 248.82 15 86.11 14 162.71
16 RIZZO Matteo ITA 247.53 13 88.63 17 158.90
17 KERRY Brendan AUS 244.80 17 84.79 16 160.01
18 LITVINTSEV Vladimir AZE 239.19 18 84.15 19 155.04
19 MOZALEV Andrei ROC 233.33 23 77.05 18 156.28
20 MILYUKOV Konstantin BLR 222.22 21 78.49 20 143.73
21 MAJOROV Nikolaj SWE 220.78 20 78.54 21 142.24
22 CARRILLO Donovan MEX 218.13 19 79.69 22 138.44
23 BRITSCHGI Lukas SUI 212.58 24 76.16 23 136.42
24 SHMURATKO Ivan UKR 205.76 22 78.11 24 127.65
———–
25 BREZINA Michal CZE 75.19 25 75.19
26 BYCHENKO Alexei ISR 68.01 26 68.01
27 LEE Sihyeong KOR 65.69 27 65.69
28 SELEVKO Aleksandr EST 65.29 28 65.29
29 SADOVSKY Roman CAN 62.77 29 62.77
WD ZHOU Vincent USA

北京冬季五輪2022 男子フィギュアスケート ショートプログラム

ショートプログラムから別次元だったネイサン・チェン選手でした。ジャンプ構成が4F、3A、4Lz+3Tでした。後半にこの高難度コンビネーションですよ。いやあ、もう・・・もちろんスピン、ステップ全部レベル4です。基礎点が49.87ですよ、は~。

2位の鍵山優真選手は、技術点も高いですが、演技構成点がチェン選手、ブラウン選手に次いで3番なんですよ。これはすごいことです。基礎点は45.20 。GOEもバリバリもらっていますね。

3位の宇野昌磨選手は、コンビネーションで手をついてしまいましたが、他の要素の出来栄えがとても良くて、結果団体戦の時より高得点となりました。全部レベルが取れています。

4位になったジュンファン・チャ選手。今季はすごく良いですね。そしてこの大舞台でその力を発揮できるのはすごいことです。見事なセカンドジャンプがループの3Lz+3Loは、基礎点が4T+2Tと同じなんですよね。

5位になったジョージアのクヴィテラシュヴィリ選手、今季はミスも少なくなかなか好調。ドイツの解説者が盛んに「背が高いのは不利。日本選手みたいに小さいのが有利、チェンも大きくないし」と繰り返していて、まあ確かにそうなのだけれど・・・ちなみに182cm。

6位はジェイソン・ブラウン選手。この大会は4回転なしで確実な演技をする選択をしたようです。

7位がロシアのセメネンコ選手。7位と言っても95.76 ですからね。もう本当にハイレベル。

何と8位になってしまった羽生選手。最初のサルコウがシングルになってしまいました。氷に穴が開いていてはまってしまったと。これは運が悪かったとしか言いようがありません。めったにないけれど、起きうること。誰が悪いわけでもない。2003年のGPSだったか、荒川静香さんがSPで溝にはまって激しく転倒したことを思い出しました。

自国開催で大きなプレッシャーにさらされたボーヤン・ジン選手や、コロナ陽性で欧州選手権を欠場したマヨロフ選手などの感極まった表情など、印象的なシーンもたくさんありました。

この場に立てることがどんなに幸運か、そのためにどれだけ大変だったか、どれだけのことを犠牲にしてきたのかを思わずにいられませんでした。選抜されたのに来られなかったコリャダ選手などもいて、いつにも増して大変な大会であることを実感しました。

男子シングル ショートプログラム結果

順位 名前 SP得点 技術点 演技構成点
1 CHEN Nathan USA 113.97 65.98 47.99
2 KAGIYAMA Yuma JPN 108.12 60.91 47.21
3 UNO Shoma JPN 105.90 59.05 46.85
4 CHA Junhwan KOR 99.51 54.30 45.21
5 KVITELASHVILI Morisi GEO 97.98 55.69 42.29
6 BROWN Jason USA 97.24 49.95 47.29
7 SEMENENKO Evgeni ROC 95.76 55.23 40.53
8 HANYU Yuzuru JPN 95.15 48.07 47.08
9 MESSING Keegan CAN 93.24 49.30 43.94
10 AYMOZ Kevin FRA 93.00 49.93 43.07
11 JIN Boyang CHN 90.98 51.62 39.36
12 GRASSL Daniel ITA 90.64 48.70 41.94
13 RIZZO Matteo ITA 88.63 46.71 41.92
14 SIAO HIM FA Adam FRA 86.74 47.28 40.46
15 KONDRATIUK Mark ROC 86.11 45.08 41.03
16 VASILJEVS Deniss LAT 85.30 43.08 42.22
17 KERRY Brendan AUS 84.79 45.93 38.86
18 LITVINTSEV Vladimir AZE 84.15 47.14 37.01
19 CARRILLO Donovan MEX 79.69 43.08 36.61
20 MAJOROV Nikolaj SWE 78.54 41.22 37.32
21 MILYUKOV Konstantin BLR 78.49 41.92 36.57
22 SHMURATKO Ivan UKR 78.11 41.08 37.03
23 MOZALEV Andrei ROC 77.05 36.76 41.29
24 BRITSCHGI Lukas SUI 76.16 39.76 36.40
25 BREZINA Michal CZE 75.19 36.69 39.50
26 BYCHENKO Alexei ISR 68.01 33.02 35.99
27 LEE Sihyeong KOR 65.69 30.75 35.94
28 SELEVKO Aleksandr EST 65.29 28.79 36.50
29 SADOVSKY Roman CAN 62.77 24.99 37.78
WD ZHOU Vincent USA

男子ショートプログラムのプロトコル

スポンサーリンク

北京冬季五輪2022 男子フィギュアスケート

ネイサン・チェン選手の異次元演技に目を奪われたフリーでしたが、印象的な演技が他にもたくさんありました。

ネイサン・チェン選手はジャンプ構成だけ見ても異次元です。4F+3T、4F、4S、4Lz、4T+1Eu+1F、3A、3Lz+3Tで基礎点合計が94.34、ここにバリバリGOEが付きます。でもジャンプだけじゃない。スケーティングはダイナミックなのに美しく、終盤のノリノリの見せ場も楽しく、すごかったです。

鍵山選手はジャンプ構成が4S、4Lo、4T、3A+2T、4T+1Eu+2S、3F+3Lo。3Aで基礎点合計が88.35でした。乱れたのは4Loだけ、少しぐらいのことなら柔らかい猫着氷で解決しちゃう感じです。まだまだできたと言っていましたね、頼もしいです。

フリー3位は羽生選手でした。みんなが息を詰めて見ていた4Aだったと思います。残念ながら転倒して<が付いてしまいました。でも、あとちょっと、という感じでしたよね。

その後の4Sの転倒は想定外で、ちょっと動揺してしまいました(私が)。このまま崩れてしまうのかと思いきや、そこは羽生結弦選手です。しっかりまとめてきました。ジャンプ構成は4A<、4Sq、3A+2T、3F、4T+3T、4T+1Eu+3S、3Aで、基礎点の合計が89.93でした。

ちなみに4Aの回転が認められれば基礎点は12.5ですが、回転不足が付いてしまったので10.0の上転倒でGOEも大きくマイナスになってしまいました。ジャンプふたつ目4Sの転倒が痛かったです。これがなければ・・・いえいえ試合に「もしも」はないのです。

フリー4位はグラッスル選手。おお、来ましたね!欧州選手権銀メダリストです。ジャンプ構成は4Lz、4F、4Lo+1Eu+3S、3A、3Lz+3T、3F+3T<、3Lzで基礎点合計89.83でした。クワド、ルッツとフリップとループですよ!!!PCSをどうにかしないと!!!

フリー5位は宇野選手。ジャンプ構成が4Lo、4Sq、4F(転倒)、3A、4T、4T+2T、3A+1Eu+1Fd、基礎点合計が88.53。頑張ったけど、あ~コンビネーションジャンプが足りない。でも4回転を5回入れてる!ジャンプが安定せず残念でしたが、ラストにかけてのスピン、ステップ(もちろん全部レベル4)は素晴らしかったです。きっちりジャンプ以外のエレメンツで点を稼げるのも宇野選手のすごいところですね。

ジェイソン・ブラウン選手はクワドなし。プロトコールはマイナスがひとつもなく美しい。もちろん演技自体美しいものでした。四回転ジャンプがないと勝てないのも事実だけれど、プログラム全体で見て美しくほころびがない演技こそフィギュアスケートの神髄という気もしてしまうんですよね。

ボーヤン・ジン選手は完璧ではなかったけれど、こんな良い演技は久しぶりだったのではと思います。四回転ジャンプがここまで急激に進歩したのはジン選手の功績という人は多いです。何しろあの美しい4Lz!今回も見せてくれました。

欧州選手権で銅メダルに輝いたデニス・ヴァシリエフス選手はフリーで12位、総合で13位になりました。フリーは冒頭の4Sで転倒してしまいましたが、その後はまとめてレベルもとって良い演技でした。強くなったな~。これからも楽しみです。

メキシコのドノヴァン選手とかフランスのエイモズ選手とか、個性的な選手も輝いていました。個性を保ちつつエレメンツをこなすのは大変かもしれないけれど、これからも楽しませてほしいなあ。

男子シングル フリースケート結果

順位 名前 FS得点 技術点 演技構成点
1 CHEN Nathan USA 218.63 121.41 97.22
2 KAGIYAMA Yuma JPN 201.93 107.99 93.94
3 HANYU Yuzuru JPN 188.06 99.62 90.44
4 GRASSL Daniel ITA 187.43 103.35 84.08
5 UNO Shoma JPN 187.10 96.24 91.86
6 BROWN Jason USA 184.00 87.66 96.34
7 CHA Junhwan KOR 182.87 93.59 90.28
8 JIN Boyang CHN 179.45 97.23 82.22
9 SEMENENKO Evgeni ROC 178.37 94.81 83.56
10 MESSING Keegan CAN 172.37 84.13 88.24
11 KVITELASHVILI Morisi GEO 170.64 85.92 84.72
12 VASILJEVS Deniss LAT 167.41 84.75 83.66
13 SIAO HIM FA Adam FRA 163.41 81.69 82.72
14 KONDRATIUK Mark ROC 162.71 80.15 83.56
15 AYMOZ Kevin FRA 161.80 76.60 86.20
16 KERRY Brendan AUS 160.01 83.51 76.50
17 RIZZO Matteo ITA 158.90 76.92 82.98
18 MOZALEV Andrei ROC 156.28 79.48 78.80
19 LITVINTSEV Vladimir AZE 155.04 80.76 74.28
20 MILYUKOV Konstantin BLR 143.73 71.35 72.38
21 MAJOROV Nikolaj SWE 142.24 67.60 74.64
22 CARRILLO Donovan MEX 138.44 66.56 72.88
23 BRITSCHGI Lukas SUI 136.42 64.72 71.70
24 SHMURATKO Ivan UKR 127.65 57.17 71.48

男子フリースケートのプロトコル

北京冬季五輪フィギュアスケートの結果サイト

女子はこちら!

スポンサーリンク